「世間の事法」 2008/02/27★からぐらの風 #0051 --------------------------------------2008/02/27 ----☆「世間の事法」☆------------------------------------------------ 前(50)号を投じた直後、「しまった!」と思った。間違えたということではない。あの文章を「白米一俵御書」で閉めてしまえば、韜晦とも受け取られかねないからである。誤解を呼ぶ可能性は少なくない。じっさい、外道即仏法、仏法即世法とし、法華経に縁しさえすれば、何でもよしとするならば、それこそ思想の根腐れ、精神の堕落以外の何ものでもない。 --------------------------------------------------------------☆☆---- 日蓮や天台が仏教以外の思想(経典)をも仏教とみなし、世法の中に仏法があると述べているのは、そこには当然「法華経による開会」という高度な論理展開がある。しかし、現実の日本宗教の多くが根腐れ状態を引き起こしてきた背景には、この「開会」のご都合主義的な解釈がある。 「開会」の論理がご都合主義でないというなら、たとえばキリスト教を開会すればどうなるのか、それに答えられるだろうか。もう少し易しくして同じ仏教の浄土教を開会すればどうなるか。誰も簡単に答えられるとは思われない。いい加減なことでキリスト教即仏教などと言えばそれだけで信用をなくしてしまうだろう。 では「開会」の論理がでたらめかといえば、そうではない。それは法華経の持つ因果観、縁起観による直感知に基づいている。ただそれを実証するためには、言葉と論理を尽くしてゆかねばならない。そのためには、キリスト教ならキリスト教に対する深い理解とキリスト教徒との粘り強い対話が不可欠となろう。認識なくして何の評価もありえない。 友との交流、友の心を開くのも、相手への真摯な関心、理解からはじまる。何事においても同じ原理であろう。 言うならば、開会とは智慧の発露である。しかして我らは智者でないというべきではない。その智慧は具体的な対話という行為の中で発現してくるものだからである。智慧は縁によって現れる。そしてそういう智慧はまた法華経への更なる信となって帰っていく。本来、智慧と信は一体のものではなかろうか。 さて、分かりやすくキリスト教を例にとったが、これは世間、世法についてもいえることだろう。安易に世法即仏法と言ってしまえば、それは世法への妥協でしかない。それこそ惨めな敗北の姿ではないか。 しかし、もし、そこで世間の哀歓を我が哀歓とし、世間の苦をおのが苦として世間の人と共に歩む人がいるならば、当然、その人は菩薩と呼ばれるべきであろう。私は、そこに初めて世法が仏法に通じてくる機縁が起こるのだと思う。 ここで、もう一度日蓮の「白米一俵御書」に戻ろう。 白米一俵御書「まことのみちは世間の事法にて候。金光明経には、若し深く世法を識れば即ち是れ仏法なりととかれ、涅槃経には、一切世間の外道の経書は、皆な是れ仏説にして外道の説に非ずと仰せられて候」(s1263.02,h1545.04,p1597.04) 「まことのみちは世間の事法にて候」 「事法」なる言葉は、聴きなれない言葉だし、日蓮の御書にもここにのみ登場するが、この御書は真蹟現存で、その箇所も真蹟写真で確認することができる。おそらくは一般にも使われる「理法」と対になる言葉だと思われる。 また、同御書には「聖人の御ためには事供やう、凡夫のためには理くやう」という用例がみえている。ここの「事・理」の用例によれば、「事」は身に関すること、「理」は心に関することとなっている。整理して次のように図解してみた。 理 すじみち 「心」→ こころざし 事 ことがら 「身」→ ふるまい 法 道理・規範 ゆえに、「世間の事法」とは、「社会の中で通用する行動」あるいは「社会で模範となる行動」となろうか。そこにこそ法華経の道があると。 ようするに法華経というのは社会に開らかれて、はじめて真価を発揮できるものであるといえよう。仲間うちから飛び出して自分自身が世間の善知識となれるようなそんな生き方をしたいものだと私は念願している。 --------------------------------------------------------------☆☆---- _/_/^/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/~/_/_/ (ー_ー).。o○ からぐら文庫 : http://www.ginpa.com/karagura/ 魯ひとへのメールは : https://sv21.wadax.ne.jp/~ginpa-com/cp-bin/phpformmail/ ●関連記事からぐらの風・indexへ | |